飲むタイミング、保管方法などよくある疑問にQ&A方式でお答えします。
ここで、説明するのは、一般的な薬の飲み方です。
薬は水で飲むのが原則です。粉薬は水と一緒に、錠剤・カプセルはかまずにそのまま、水とともに飲み込みます。
お年寄りで、包装材の銀紙のまま飲み込んでしまって、包装材が食道に刺さり、大変なことになることもありますので、お年寄りにはくれぐれも注意してあげて下さい。
大部分の薬は、食後約30分の服用でいいのですが、経口糖尿病薬や消化性潰瘍治療薬のように、薬によって服用時刻が指定されるものがありますので、指示をよく確かめて服用して下さい。
■服用時刻のめやす
食前とは…食事の前約30分に服用
食後とは…食事の後約30分に服用
食直後とは…食事の後すぐに服用
食間とは…食事の後約2時間に服用
薬には一定期間飲めばやめていいものと、長い期間服用を続ける必要のあるものがあります。薬を減らすにしても、やめるにしても、自己判断せず、医師の指示、指導の上でして下さい。
薬には治療量というものがあり、薬一つ一つについて、一日に用いる薬用量の基準が年齢、性別によって決められており、子供では体重別によっても決められています。
一般に、青年を中心として決められていて、一部の薬を除いては、未成熟な子供、機能の衰えている老人になるにしたがって少なくてよいのです。
しかし、薬によってはあまり差のないものもありますし、同じ年齢、性の人でも、身体の状況で増減されることがしばしばあります。
注意すべきことは同じ薬の錠剤、カプセル剤でも、1個中に含まれる薬の量がちがっていることが多いことです。子供用は少なく、大人用はそれより多くなっています。ですから、ただ何錠、何個といっても、薬の量が必ずしも同じというわけではないことも知っておいて下さい。
大切なのは、症状によって必要とする薬用量は変えられるものですから、医師の指示に従って服用することです。素人判断には危険を伴います。服用量について疑問があったら、主治医及び薬剤師にご相談下さい。
2種類以上の薬が重なると、互いに作用しあって影響することがあり、ある場合には作用が強くなったり、ある場合には弱くなったり、ある場合には有毒な化合物を形成することすらあります。薬物の相互作用、いわゆる飲み合わせです。
診察時に、出来る限り現在服用中の薬の名前をよく医師に伝えたり、薬を見せて確認してもらうことが望ましいのです。2カ所、3カ所から同じ系統の薬をもらっていたりすると過量になります。
薬の相互作用については、その組合せの例、条件は多彩であり、それぞれに相互作用のしくみがありますから、その判断は医師・薬剤師に依頼することがよいと思います。それには、診察を受ける時、薬局でお薬をもらうとき、現在の服用薬をよく伝えてください。
この薬を家族に飲ませてよいでしょうか?」という質問をよく受けますが、原則的にはこれはよくないことですからやめて下さい。
というのは、処方された薬は、“その人の、その時のため”の処方であって、他人にはもちろんのこと、その人についても別の時にはそれがあてはまらないことがあるからです。前の時と同じ症状だと思っても、素人判断は禁物です。
このように処方された薬というものは、使う人についても、時についても、非常に限定されたものですから、誰にでも通用するものではないのです。
大衆薬というのは、薬局・薬店でだれもが買える薬のことで、一般用医薬品ともいいます。製薬に対して、成分などについての厳しい規制があって、比較的安全性が高いのです。つまり、特に医師の処方せんを通さずに服用しても、危険性が少ないとされるものです。
大衆薬はこのように、比較的安全であるかわりに、作用の力は弱いのが普通です。しかし、過敏症の人や、衰弱の著しい人では、必ずしも安全とはいえませんので、薬局でよく相談して下さい。また、あまり大衆薬に頼りすぎて、手遅れにならないように注意することも大切です。
一方、医療用医薬品というのは、医師の処方せんにより出される薬のことです。薬をもらうのにやや面倒ですが、医師の診断に基づいて、薬の選択、用量、服用方法などが選定されているので、一般用医薬品に比べ、効きめも副作用も強い。それだけに薬を的確に効かせ、副作用を少なくするためには、医師の指示を守り、きちんと服用することが大切です。